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Jumbo Frame(ジャンボフレーム)の検証

2004.04.28
概要

ギガビットイーサーネット(GbE)では1000Mbpsという、100Base-TXの10倍の速度での通信が可能です。
実際はPCIバス帯域やHDDの速度等がボトルネックになってしまうため、200Mbpsくらいしか出ないこともありますが、それでも2倍の速度になるわけです。
インターネット用途ではあまり意味はありませんが、LAN内のファイル転送を行った場合は体感速度でもはっきりと高速化を感じ取ることが出来ます。

GbEにはパケットの大きさを拡張できる規格があり、これを可能にするのがJumboFrame(ジャンボフレーム)です。
NIC,スイッチングハブ等、一つの通信に関わる全ての機器がJumboFrameに対応している場合、このJumboFrameを用いた通信が可能になります(PCではMTUを変更する必要があります)。
逆に一つでも対応していない場合は、現行通りのパケット長(最大1518バイト)での通信になります。

なお、機器によって対応しているJumboFrameの値が9,000バイトまでだったり14,000バイトまでだったりと、かなりバラつきがあります。

今回はいつも通りのファイル転送に加え、Netperfも用いてJmboFrameの有効性を確認してみました。



方法

2台のPCをCat.5e規格のストレートケーブルで直結し、それぞれのMTU(1500,9000,14000),RWIN( (MTU-40)*184))値でファイル転送とNetperfによる測定を行いました。
ファイル転送ではCPU負荷も測定しました。




1000Base-T環境下でのファイル転送速度測定方法はこちら


ローカル-リモート間ファイル転送速度
測定環境
Local PC
(NIC)
Main PC
(Pro/1000 MT)
Remote PC
(NIC)
2nd PC
(Pro/1000 MT)
MTU / RWIN1500 / 268640
9000 / 1648640
14000 / 2568640
接続形態直結
接続速度1000Mbps
プロトコルTCP/IP
転送ファイル容量1.0GByte
※ダミーファイルをエクスプローラーにて転送し、5回の平均転送時間を元に転送速度を求めた。測定にはストップウォッチを使用した。
・CPU負荷
Remote → Local (Download) Local → Remote (Upload)
MTU=1500
RWIN=268640
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷

MTU=9000
RWIN=1648640
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷

MTU=14000
RWIN=2568640
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷





Netperfでの測定結果測定方法はこちら


Netperf測定結果グラフ
測定環境
Local PC
(NIC)
Main PC
(Pro/1000 MT)
Remote PC
(NIC)
2nd PC
(Pro/1000 MT)
MTU / RWIN1500 / 268640
9000 / 1648640
14000 / 2568640
接続形態直結
接続速度1000Mbps
プロトコルTCP/IP
※測定PCそれぞれでnetserver.exeを起動し、測定を行った。測定は「netperf -H」コマンドによる。





結論

エクスプローラーでのファイル転送ではJumboFrameと速度の関係がはっきりとしませんでした。
ただし、MTU=1500のときとMTU=9000のときを比べると、MTU=9000のほうが明らかにCPU負荷が低くなっています。
MTU=14000では通信速度が安定せず、正確なデータが取れたとは言えませんが、ここでもMTU=1500のときよりCPU負荷が低くなっているように見えます。

一方でNetperfによる測定ではMTU値を上げるごとに速度が上がりました。
一般的な環境ではこのような速度で通信することは不可能ですが、ひとつの目安になると思います。

いずれにしても、JumboFrameを有効にすることでパフォーマンスの向上が確認できました。