NIC MANIA > LANカードレビュー > GN-1200TC


PLANEX GN-1200TCレビュー


2003.09.22(最終更新:2003.09.29)

LANカード「GN-1200TC」全景
メーカー PLANEX
製品名 GN-1200TC
購入価格 \2980(2003年9月:リテール)
採用チップ Realtek:RTL8169S
WOL端子 ×
WOLケーブル付属 ×
AUTO-MDIX
LowProfile対応
対応OS Windows98〜XP
LINUX


新種のギガ蟹がPLANEXより出てきました。
コントローラーチップに“RTL8169”の後継である“RTL8169S”を使用していて、基板上のパーツ量が驚くほど少ないのが特徴です(むしろ不安です)。 一見しただけでは100Base-TXのRTL8139xシリーズNICと見間違えてしまいそうです。

付属ステッカー
付属のロゴステッカー。必要ですか?
PLANEXと、競合各社から発売されている ALTIMABroadcom)製 “AC1002” コントローラーチップ搭載NICの発熱とドライバの不具合に嫌気がさしたのか、それともコストで勝負に出たのか解りませんが、 いずれにしても、数あるGbEコントローラーの中からあえてRealtekの製品を選んでしまうPLANEXの戦略にはいささか問題があるように思えます。
できればこのレビューでRealtekの伝説を崩して欲しいものです。

カタログより、消費電力は最大2W。付属のブラケットでLowProfileに対応します。

なお、パッケージ中には全く意味のなさないPLANEXのロゴステッカーが同梱されています。 ロゴステッカーは要らないので\1でもいいから値下げして頂きたいものです。


ドライバの設定項目ですが、RTL8139x以下の2項目しかありません。危険な香りがします。
Planexドライバでの設定画面
Planexドライバでの設定画面
Realtekドライバでの設定画面
Realtekドライバでの設定画面



ネットワークコントローラーチップ
・コントローラーチップ

Realtek製“ RTL8169S-32

RTL8169の後継チップで、32bit版(RTL8169S-32)と64bit版(RTL8169S-64)があり、パッケージもそれぞれ異なります。32bit版が128-pin QFP(T\RTL8139xと同じ形状)で、64ビット版が233-pin TFBGAになります。

主な変更点は、PHYを内蔵することによりワンチップ化されたことと、180nmプロセスで製造されるようになったため、小型化したことです。
送信用に8kb,受信用に64kbのFIFO Bufferを内蔵しています。

また、同時に発表されたコントローラーチップとしては「RTL8110S」があり、こちらは機能がほとんど同じですが、マザーボードのオンボード向け(LOM対応)となっていて、 GIGABYTE製マザーボード “GA-7N400 Pro2”や DFI製マザーボード “865PE INFINITY” 等に搭載されています。

ブラケット部 ・ブラケット部

ステータス確認用のLEDは2個。
「LINK/ACT」,「10/100/1000」
接続速度表示LEDは2色(緑/橙)です。

トランスフォーマー ・トランスフォーマー

TAIMAG製“IH-002”

WOL端子 ・WOL端子

空きパターンがあります。

BootROM ・BootROM

空きパターンがあります。


フレッツスクエアでの速度測定

フレッツスクエアでの速度測定
測定環境
PCメインPC
接続形態ONU直結
MTU1454
RWIN260176
PPPoEフレッツ接続ツール1.5E
※対象NICで5回測定した直後にPro/100 Sで5回測を行い、それぞれの平均値をグラフに示した。





100Base-TX環境下でのファイル転送について測定方法はこちら


ローカル-リモート間ファイル転送速度
測定環境
ローカルPCMain PC (GN-1200TC)
リモートPC2nd PC (Pro/100 S)
接続形態Hub経由
プロトコルTCP/IP
接続速度100Mbps / Full Duplex
転送ファイル容量300MB
※ダミーファイルをエクスプローラーにて転送し、5回の平均転送時間を元に転送速度を求めた。測定にはストップウォッチを使用した。
・CPU負荷
Remote → Local (Download) Local → Remote (Upload)
Pro/100 S
TCP/IP
(PROSetII:8.0)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷

GN-1200TC
TCP/IP
(Planex:5.602.619)
Download時CPU負荷 Upload時CPU負荷
GN-1200TC
TCP/IP
(Realtek:6.06)
Download時CPU負荷 Upload時CPU負荷





GbE環境下でのファイル転送について測定方法はこちら


GbEでのローカル-リモート間ファイル転送速度
測定環境
ローカルPCMain PC (GN-1200TC)
リモートPC2nd PC (Pro/1000 MT)
接続形態クロスケーブル直結
プロトコルTCP/IP
接続速度1000Mbps / Full Duplex
転送ファイル容量1.0GB
※ダミーファイルをエクスプローラーにて転送し、5回の平均転送時間を元に転送速度を求めた。測定にはストップウォッチを使用した。
・CPU負荷
Remote → Local (Download) Local → Remote (Upload)
Pro/1000 MT
(PROSetII:8.0)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷

GN-1200TC
TCP/IP
(Planex:5.602.619)
Download時CPU負荷 Upload時CPU負荷
GN-1200TC
TCP/IP
(Realtek:6.06)
Download時CPU負荷 Upload時CPU負荷




データ転送時間とチップ表面温度(℃)

チップ表面温度
測定環境
100Base-TX1000Base-T
ケース内温度
(測定開始時)
27.6℃28.3℃
ケース内温度
(測定終了時)
27.6℃28.6℃
室温23.6℃23.6℃
接続速度100M1000M
転送プロトコルTCP/IPTCP/IP
※温度変化が30秒以上観察されなくなるまでダミーファイルを連続的に転送した。

総合評価

期待通り新たな伝説を築いてくれました。

CPU負荷を見たところ、100Base-TX環境下ではRTL8139xほどの負荷はありませんでしたが、1000Base-T環境下においては非常に高い負荷を示しました。 これはAltima製AC1002よりも高負荷です。
グラフを見る限りでは、Realtek製ドライバ(ver.6.06)よりもPLANEXドライバ(Ver1.01)のほうが高負荷のようです。

また、RTL8169Sコントローラーチップの発熱を調べたところ、1000Base-T通信時は80℃を優に超える驚異的な温度でした。
チップのサイズが小さいとはいえ、この温度で運用するには相当な覚悟が必要かと思われます。
少なくともケース内温度の上昇には確実に寄与します。たかが安物NIC一枚の発熱に、他スロットのPCI/AGPカードがやられる危険性も十分に考えられます。
100Base-TX通信時のチップ温度は普通で、50℃程度でした。

転送速度では問題無いようですが、いずれにしてもどうしようもなく緊急の時以外では使いたくないNICです。