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メルコ LGY-PCI32-GTレビュー


2003.05.09 (最終更新:2003.09.05)
関連項目:GEther PCI-T32のドライバを入れたときのファイル転送速度とCPU負荷について


LANカード「ETG-PCI」全景
メーカー メルコ
製品名 LGY-PCI32-GT
購入価格 \3480(2003年5月:リテール)
採用チップ ALTIMA (Broadcom):AC1002
Jumbo Frame ○(1500/2000/2500/3000/3500/4000)
WOL端子 ×
WOLケーブル付属 ×
AUTO-MDIX
LowProfile対応
(初期のものは付属ブラケット無し)
対応OS Windows98〜XP
LINUX


5MBファイルをFTP転送した場合の転送速度を計測すると、「I社」と比較して149%の性能があるというグラフを載せているメルコ製GbE NIC。
5MB程度のファイル転送で性能の比較するのは安易すぎるのではと思ってしまうのですが、私はド素人なので詳しいことは分かりません。 きっとメルコさんのデータは正確なのでしょう。

基板のレイアウトはcorega製のGEther PCI-T32と酷似していますが、同一ではありません。 このNICの方が先発であることや基板のリビジョンと思われる番号から考えると、古いデザインなのかもしれません。
カタログによると、最大消費電力は4.9W。供給電圧は5V / 3.3Vです。

注意しなければならないのが、初期に生産されたものにはLowProfileブラケットが付属していないということです(Tomonekoさん、情報ありがとうございました)。
省スペースPCに組み込む場合等はブラケットの付属をよく確かめてから購入しましょう。

GEther PCI-T32の不具合情報として、
・P2P交換ソフトで通信が途切れる
・パケット送受信のデータがおかしい
・GbE接続下で通信中、発熱により(?)NICが落ちる
・GbE接続下でOutlook Expressの送受信ができなくなる
等の燦々たる不具合報告を見かけます。
また、2台のPCをクロスケーブルで直結すると、転送速度が速くなるという情報もありますが、未確認です。

2003/09/05追記

メルコから修正ドライバがリリースされました。修正項目は

・40byte以下に分割したデータが送信できるように修正しました。
・WinMX,ftpで通信が止まる問題を修正しました。
・Windows2000/XPでパケットカウンタが正常に表示されない件を修正しました。

とのことです。

この修正ドライバはドライバ ダウンロード LANボードNavigatorから ダウンロード可能ですが、信じがたいことにNavigatorCD Ver.1.07という、メルコ製NICのドライバを全て含んだファイル(16MB)をダウンロードしなければなりません。
ドライバ1個にどうして邪魔な ドライバ1個を得るのにどうして16MBもの巨大なファイルをダウンロードしなければならないのか、非常に理解に苦しみます。
これもいわゆる合理化の一環なのでしょうが、ドライバくらいは数秒でダウンロードしたいものです。


GEther PCI-T32の初期ドライバの設定画面を corega製“GEther PCI-T32”と比べると、VLAN及びWakeUpに関する設定がありません。 ドライバの問題なのか、物理的にこの機能を提供できないのか分かりませんが、少なくとも現時点ではLOMに対応していない可能性があります。


”LGY-PCI32-GT”の設定画面

corega製“GEther PCI-T32”の設定画面





ネットワークコントローラーチップ
・コントローラーチップ

ALTIMABroadcom)製“ AC1002
ワンチップ型ですが、他のGbEコントローラーチップに比べるとサイズが大きめです。
32bit PCIまでの対応で、48KBのPacket Bufferを内蔵し、PCI2.2に準拠しています。
また、消費電力は3W以下という記述がありますが、100Base-TX対応NIC一枚の消費電力が1Wを切る中で3Wという値は、まだまだ低いとは言えません。
GbE通信時の発熱量は半端ではなく、うっかり触ると確実に火傷を負います。


・ブラケット部

ステータス確認用のLEDは4個。
「ACT」,「10M」,「100M」,「1000M」

・トランスフォーマー

DELTA製“LF9203”


フレッツスクエアでの速度測定

フレッツスクエアでの速度測定
測定環境
PCメインPC
接続形態ONU直結
MTU1454
RWIN260176
PPPoEフレッツ接続ツール1.5E
※対象NICで5回測定した直後にPro/100 Sで5回測を行い、それぞれの平均値をグラフに示した。





100Base-TX環境下でのファイル転送について測定方法はこちら


ローカル-リモート間ファイル転送速度
測定環境
ローカルPCMain PC (測定NIC)
リモートPC2nd PC (Pro/100 S)
接続形態Hub経由
プロトコルTCP/IP / NETBEUI
接続速度100Mbps / Full Duplex
転送ファイル容量300MB
※ダミーファイルをエクスプローラーにて転送し、5回の平均転送時間を元に転送速度を求めた。測定にはストップウォッチを使用した。
・CPU負荷
Remote → Local (Download) Local → Remote (Upload)
Pro/100 S
NETBEUI
(PROSetII:8.0)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷

LGY-PCI32-GT
NETBEUI
(メルコ:1.0.3 )
Download時CPU負荷 Upload時CPU負荷
Pro/100 S
TCP/IP
(PROSetII:8.0)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷

LGY-PCI32-GT
TCP/IP
(メルコ:1.0.3 )
Download時CPU負荷 Upload時CPU負荷





GbE環境下でのファイル転送について測定方法はこちら


GbEでのローカル-リモート間ファイル転送速度
測定環境
ローカルPCMain PC (GEther PCI-T32)
リモートPC2nd PC (Pro/1000 MT)
接続形態クロスケーブル直結
プロトコルTCP/IP
接続速度1000Mbps / Full Duplex
転送ファイル容量1.0GB
※ダミーファイルをエクスプローラーにて転送し、5回の平均転送時間を元に転送速度を求めた。測定にはストップウォッチを使用した。
・CPU負荷
Remote → Local (Download) Local → Remote (Upload)
Pro/1000 MT
(PROSetII:8.0)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷

GEther PCI-T32
(corega:1.0)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷

LGY-PCI32-GT(メルコ:1.0.3) Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷





データ転送時間とチップ表面温度(℃)

チップ表面温度
測定環境
100Base-TX1000Base-T
ケース内温度
(測定開始時)
30.7℃30.8℃
ケース内温度
(測定終了時)
30.7℃31.1℃
室温25.2℃25.2℃
接続速度100M1000M
転送プロトコルTCP/IPTCP/IP
※温度変化が30秒以上観察されなくなるまでダミーファイルを連続的に転送した。

総合評価

corega製のGEther PCI-T32と比較すると、Upload時のCPU負荷が低いという結果になりました。
速度的には微妙にこちらのほうが遅いようですが、同チップでほぼ同一デザインのNICで速度に差が出るというのは考えにくいものがあります。 もしかするとドライバの出来が奇跡的に良かったのかもしれません。

100Base-TX環境下のTCP/IP通信時におけるDownload負荷でもGEther PCI-T32を下回っており、さらには Pro/100 Sをも下回る勢いです。

発熱量については相変わらずで、とにかく熱いの一言に尽きます。私自身、測定終了直後にNICを外そうと基板の裏面に触れてあやうく 火傷しかけました。70℃以上で卵の白身が固くなるということなので、この基板上で目玉焼きは作れそうです。
ただし、あちこちで聞かれるような、「高負荷時にNICがDownする」というトラブルは発生しませんでした。
このトラブルはコントローラーチップにヒートシンクを付けると安定するという情報もありますので、同様の症状でお悩みの方は PCの排熱を見直すことで解消できる可能性があります。