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Intel PRO/100 Sレビュー

2003.04.23 (最終更新:2003.11.12)
  関連項目:BOOT ROMの無効化

  PROSetII6.4と8.0の違いについて


LANカード全景
メーカー Intel
製品名 INTEL PRO/100 S
購入価格 \3980(2002年7月:バルク価格)
採用チップ Intel:i82550
WOL端子
WOLケーブル付属
ACPI対応
LowProfile対応
(AINEX製PA-010LANで対応)
対応OS Windows95〜XPまで全て


少し前までは高級NICでしたが、最近ではバルク品が大量に流出しているため、一気に安くなりました。 特に土日の秋葉原では\4000を切る値段で販売されています。

AINEXから発売されている“PA-010LAN”に交換することで、 Low Profile化も可能です。

供給電圧は5Vで、消費電力は1.25W。

この製品の型番の最後についている「S」ですが、これは「Security」のSを示しています。IPセキュリティをNIC上のチップが行うため、 この機能をオンにした場合はCPU負荷が非搭載のNICに比べて圧倒的に減少します。

また、Pro/100 Sには前期と後期の2バージョンがあり、前期のものはi82559チップ+IPSecチップで、後期のものはi82550となります。 つまり、i82550ではIPSec機能がコントローラーチップに内蔵されています(写真は後期バージョン)。

Intelチップが搭載されたLANカードのほとんどは、Intelから提供されている 『PROSetII』 というソフトで詳細な設定を行うことができます。
また、『PROUTIL』 というツールでBootROMの無効化や、その他の詳細設定ができるようになっています。

2003/11/12現在のPROSet最新バージョンは8.2で、少なくともwindows2000用のものは日本語化されています(ダウンロードページは英語)。
PROSetII 8.0からは他社のNICを認識するようになったようです。

Pro/100 Sの詳細なデータシートはこちら(Intelサイト内,pdfファイル)。



ネットワークコントローラーチップ
・コントローラーチップ

Intel製“i82550
82559と同様のBGAパッケージ・ワンチップ型で、送信・受信用にそれぞれ9 KbyteずつのFIFO Bufferを内蔵しています(Pro/100+ は3kbyteずつ)。

3com製チップと同様に、データ通信時におけるCPUへの負荷の低さが売りで、これが低価格LANコントローラーと決定的に違う点です。 実際、100Mbpsを謳う低価格NICでは、特にUpload面のCPU負荷でIntel製チップには到底及びません。

IPSec機能も内蔵していますが、個人利用の範囲ではあまり価値がないと思われます。

・ブラケット部

ステータス確認用のLEDは2個。
「ACT/LINK」,「100TX」
一見すると基板上にはLEDが無いように見えますが、チップ型の非常に小さなLEDが実装されています。

・Boot ROM

Intel系以外のチップセットで自作をしたことのある方なら大抵はお目にかかったことがあるのではないかというくらい有名なチップ、 “SST(Silicon Storage Technology, Inc.)”製 “39VF512”。
64K×8 = 512KbitのFlash ROMで、2.7V,70nsものです。

・WOL端子

一見すると普通のWOLケーブルは合わない気がしますが、同梱されているケーブルのコネクタ形状は通常のものと全く変わりません。
マザーボードがPCI2.2に対応していればLOMによるWakeUPが可能です。

・トランスフォーマー

Pulse製“H1138”(PDF形式)


各種設定と通信速度について
PROSet6.4/NETBEUIではIPSecの設定をオフにしたり、アダプティブ テクノロジをオフにすると速度の向上が見られました(詳しくは以前のPro/100Sレビューを参照)が、 PROSet8.2/TCP/IPでは各種設定を変更しても有意なパフォーマンスの向上は見られませんでした。
PROSet8.2ではデフォルト設定のまま使用しても問題無さそうです

PROSet8.2の設定画面

エクスプロラーでのローカル⇔リモート間ファイル転送測定方法はこちら


ローカル-リモート間ファイル転送速度
測定環境
ローカルPCMain PC (Pro/100 S)
リモートPC2nd PC (Pro/100 S)
接続形態HUB経由
プロトコルTCP/IP
接続速度100Mbps / Full Duplex
転送ファイル容量300MB
ドライバPROSet 8.2
※300MBのダミーファイルを転送。3回計測した平均値をグラフに示した。



データ転送時間とチップ表面温度(℃)
チップ表面温度
測定環境
ケース内温度
(測定開始時)
30.4℃
ケース内温度
(測定終了時)
30.4℃
室温22.5℃
接続速度100Mbps / Full Duplex
転送プロトコルNETBEUI
※温度変化が30秒以上観察されなくなるまでダミーファイルを連続的に転送した。

総合評価

あちこちで高い評価を得ているこのLANカードですが、他のNICと比べれば比べるほど(他のNICレビューを参照)、 決して雑誌記事のようにスポンサーの製品をべた褒めしているのではなく、実際に性能が評価されているということが確認できました。

特に安定性は抜群で、VT6102やRTL8139等で見られるような、ファイル転送中にネットワークを認識しなくなる,転送が止まってしまう, ハングアップする等のトラブルは購入後一度も無く、現在も安心して使えています。
むしろ低価格NICのほうは、そのようなリスクを負う見返りとして価格が抑えられていると言っても過言ではないでしょう。
少なくともNICについては、個人レベルでも安定性に対してお金を払っても良いのではないでしょうか。
NICはもともと他のPCパーツよりも安いので、個人用途ではほぼ最上級品が\3000〜\4000で手に入ると考えれば、このPro/100 Sは決して高価ではないはずです。