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玄人志向 GbE-PCIレビュー


2004. 5.30

LANカード「GbE-PCI」全景
メーカー 玄人志向
製品名 GbE-PCI
購入価格 \1000(2004年5月:新品)
採用チップ VIA:VT6122
Jumbo Frame ○(最大9,000bytes)
WOL端子 ×
WOLケーブル付属 ×
AUTO-MDIX
LowProfile対応 ○(専用ブラケット付属)
対応OS Windows98以降
DOSODI,Novell Server,Linux


玄人志向より発売された、VIA製VT6122搭載ギガビットNIC。販売価格は\1500を切っています。
玄人志向サイトの情報によると、製造元はX-NET(リンク切れ)とのこと。

VIA製チップ搭載NICといえば速度が出なかったり突然ブルースクリーンになったりデータが化けたり通信が突然途切れたりと、ある意味で話題性抜群でしたが、 今回のチップはその悪評を払拭できるのか、非常に気になるところです。
今のところ海外サイトや掲示板などで、「意外にも低負荷」,「高速」,「低発熱」等の報告を見かけますので、もしかすると低価格NICの本命に化けるかもしれません。
対応PCIバスは32-bitで、パッケージには「9kbyteのジャンボフレームに対応」との記述がありました。

ドライバのインストール方法ですが、付属ドライバCDのルートフォルダにある『winsetup.exe』を実行しないといけないようです。
「デバイスマネージャ」や「ハードウェアの追加と削除」でドライバのあるフォルダを指定したところ、うまく認識されませんでした。
なお、ドライバデフォルトの設定ではジャンボフレームが無効になっていました。

付属品としてLow Profile用ブラケット,ドライバCD(8cm),三つ折りの小さな紙マニュアル(英文)が入っていました。
玄人志向製品らしく、詳しい装着方法やドライバのインストール方法については簡単な文章でしか示されておらず、 初めてPCのフタを開ける方には不向きです。


詳細1
ドライバCDの中身
詳細2
デフォルトのJumbo Frame設定
関連リンク
GbE-PCI2レビュー(NIC MANIA)




・コントローラーチップ

ネットワークコントローラーチップ VIA Technologies製“ VT6122

14x14mm 128ピンのLQFPパッケージで、0.15umプロセスで製造されています。
ワンチップ型で、32-bit PCIに対応。VLAN,WOL等、基本的な機能は他のGbEと同様で、ジャンボフレームは16kbyteまでサポートしているようです。
Buffer Memoryとして、送信用に16Kbytes,受信用に48Kbytesを内蔵しています。
低消費電力化に力を入れているVIAだけあり、発熱は少ない結果となりました。
VIA提供のVT6122ドライバはこちら



・ブラケット部

ブラケット部 ステータス確認用のLEDは2個。
「ACT」,「LINK」



・トランスフォーマー

トランスフォーマー MEC製?詳細不明です。恐らく型番は“TG5002”



100Base-TX環境下でのファイル転送について測定方法はこちら

ローカル-リモート間ファイル転送速度
測定環境
ローカルPCMain PC (GbE-PCI)
リモートPC2nd PC (Pro/100 S)
接続形態Hub経由
プロトコルTCP/IP
接続速度100Mbps / Full Duplex
MTU / RWIN1500 / 268640
転送ファイル容量300MB
※ダミーファイルをエクスプローラーにて転送し、5回の平均転送時間を元に転送速度を求めた。測定にはストップウォッチを使用した。
CPU負荷
Remote → Local (Download) Local → Remote (Upload)
Pro/100 S
TCP/IP
(PROSetII:8.21)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷
GbE-PCI
TCP/IP
(VIA:1.25.0.83)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷




GbE環境下でのファイル転送について測定方法はこちら

GbEでのローカル-リモート間ファイル転送速度
測定環境
ローカルPCMain PC (GbE-PCI)
リモートPC2nd PC (Pro/1000 MT)
接続形態HUB経由
プロトコルTCP/IP
接続速度1000Mbps / Full Duplex
MTU / RWIN1500 / 268640
9000 / 1648640
転送ファイル容量1.0GB
※ダミーファイルをエクスプローラーにて転送し、5回の平均転送時間を元に転送速度を求めた。測定にはストップウォッチを使用した。
CPU負荷
Remote → Local (Download) Local → Remote (Upload)
Pro/1000 MT
MTU=1500
(PROSetII:8.21)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷
Pro/1000 MT
MTU=9000
(PROSetII:8.21)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷
GbE-PCI
MTU=1500
(VIA:1.25.0.83)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷
GbE-PCI
MTU=9000
(VIA:1.25.0.83)
Download時CPU負荷

Upload時CPU負荷




Netperfでの測定結果測定方法はこちら

Netperf測定結果グラフ
測定環境
ローカルPCMain PC (GbE-PCI)
リモートPC2nd PC (Pro/1000 MT)
接続形態HUB経由
プロトコルTCP/IP
接続速度1000Mbps / Full Duplex
MTU / RWIN1500 / 268640
9000 / 1648640
※測定PCそれぞれでnetserver.exeを起動し、測定を行った。測定は「netperf -H」コマンドによる。




データ転送時間とチップ表面温度(℃)

チップ表面温度
測定環境
100Base-TX1000Base-T
ケース内温度
(測定開始時)
27.2℃28.7℃
ケース内温度
(測定終了時)
27.2℃28.7℃
室温24.8℃25.4℃
※温度変化が30秒以上観察されなくなるまでダミーファイルを連続的に転送した。


総合評価

1000Base-T環境下のファイル転送のDownload(リモート→ローカル)では、速度こそ多少劣るものの、明らかにPro/1000 MTよりも低負荷でした。
発熱量もかなり低く、高負荷時でも65℃程度でした。ギ蟹ことRTL8169と比べると20℃の差です。
この傾向は100Base-TXカードのVIA製コントローラーチップ“VT6105”に似ています。
100Base-TX環境下ではPro/100 Sと同程度の負荷で、驚くべきことにPro/100 Sよりも若干高速でした。
また、MTU=9000にしてGbE環境下で各種測定を行ったところ、MTU=1500よりも若干ですがパフォーマンスの向上が認められました。

Netperfでの測定ではPro/1000 MTに大きく差を付けられてしまいました。ドライバのせいなのか、このNIC自体の限界なのかはわかりません。

1000Base-T環境下で1.0GByteのファイルを20回程度転送してみましたが、通信が途中で途切れるようなことはありませんでした。
また、転送したこれらのファイルについてCRCの比較を行ってデータ化けの有無を調べたところ、全てのファイルで同じCRC値となり、 データ化けは認められませんでした。

低価格GbE NICはほとんどがRTL8169-Sシリーズのチップを搭載しているので、特にこれからの季節はその発熱がとても心配です。
少なくとも発熱面ではかなり優秀ですので、省スペースPCには組み込み易いNICと思われます。

発売1週間にして既に税込み\1000で販売している店舗もありますので、手軽にギガビット環境を構築できる有力なNICになりそうな予感がします。